【じわじわと怪異に取り込まれていく】ホラー小説「目嚢」
夏も間近ということで、蒸し暑い日々が続いております。
日本の夏の風物詩と言えば?
そう、怪談話です。
夏になるとやはり怪談が読みたくなる私、今年の夏もいろいろ読み漁っております。(まあ夏じゃなくても読み漁ってますが)
そんな中で、面白い本があったので一冊紹介します。
加門七海「目嚢」
あらすじ
怪談作家の鹿角南(かづのみなみ)は従妹の菊池香織とその夫である淳(ただし)に頼まれて、江戸時代から続く菊池家のルーツを探ることとなる。
そのための資料として渡されたのは、菊池家の蔵から出てきたという「目嚢」と書かれた古文書だった。
その「目嚢」の内容は主に日記であったが、ところどころに筆者の実体験と思しき怪談話が挿絵付で書かれており、怪談好きの南は喜々としてその資料を読み耽っていた。
しかし、その古文書を読み進め、菊池家のルーツを探っていくにつれて、南の周囲で不可思議なことが起こり始める。
始めは指を切ったり、虫が湧いたりといった些細な異変だったが、やがてそれは「目嚢」と菊池家を結びつける怪異へと発展していく。
果たして、「目嚢」と菊池家にはどのようないわくがあるのか・・・。
感想
露骨に幽霊が出てきてバンバン人が殺されていくようなホラーではなく、じわりじわりと怪異が迫ってくるような話で、読んでいてゾクッとするような怖さの作品でした。
終盤は怪異の現れ方が少しハッキリしてきますが、何年か前に映画化された、土地にまつわるいわくを探っていくというストーリーの「残穢」に近い作品だと思います。
こういう「じわじわ」系のホラーは現実にありそうな演出が怖さを倍増させますね。
夜中に読んでいたのですが、カーテンの隙間に見える闇が気になって仕方なかったです。