無人島でった一人・・・ 映画「キャスト・アウェイ」
現代の日本人の中に、無人島でった一人、ライフラインはもちろん、ライターの一つも無い状態で生きていける人が、果たしてどれだけいるでしょうか。
この映画「キャスト・アウェイ」はまさにそんなお話です。
目次
あらすじ
チャックは大手宅配便会社「フェデックス」の敏腕システム・エンジニアで、一分一秒を無駄にしないことをモットーに、世界中を駆け回る多忙な生活をしていた。
そんなある日、彼の乗った飛行機が墜落してしまい、命は助かったもののチャックはただ一人無人島に流れついてしまう。
文明的な道具も無い中で、チャックの孤独な無人島生活が始まるのだった・・・。
登場人物
チャック・ノーランド・・・トム・ハンクス
ケリー・フレアーズ・・・ヘレン・ハント
ストーリー
以下、ネタバレ含みます
世界的宅配便会社「フェデックス」の敏腕SEであるチャック・ノーランドは、クリスマスの日もロシアのニコライ支社に出向き、従業員にいかに時間というものが大切かを説いていた。
慌ただしく荷物の積み込みを終え、大急ぎでアメリカのメンフィスに帰ったチャックは、恋人のケリー・フレアーズと束の間の心安らぐ時を過ごす。
食事中、歯をしきりに気にするチャック。どうやら虫歯が悪化している様子。
そして、すぐに仕事が入ってしまい、マレーシアに行くことになるチャック。ケリーとの予定もキャンセルするハメになってしまいました。
慌ただしく空港までの車の中でクリスマスプレゼントを交換する二人。
ケリーからのプレゼントは彼女の写真入り懐中時計でした。
去り際に「もう一つプレゼントがあったんだ」と小さな箱を渡すチャック。
驚くケリーに「愛してるよ。すぐに戻る。」と言って去っていきます。
飛行機の中で寝ていたチャックですが、揺れに起こされます。
どうやら外は悪天候のもよう。
用を足していたチャックは尋常じゃないほどの激しい揺れでトイレから投げ出され、スタッフの一人が「不時着するかもしれない」とチャックを席に座らせ、酸素マスクを着けさせます。
ケリーからもらった懐中時計が床に落ちていることに気付き、シートベルトを外しそれを取りに行くチャック。
その瞬間、飛行機は海上に墜落してしまいます。
チャックは幸いにもシートベルトをしていなかったこともあり、沈んでいく船体からはなんとか脱出できました。
緊急ボートで高波に揺られているうちに、島に漂着し、そのまま寝てしまうチャック。
朝になり目を覚ましたチャックは、一緒に流れ着いた飛行機の積み荷を集めながら、島の様子を確認します。
大声で助けを呼んでみるが、人のいる気配はない。
仕方なく島で生活し始めることに。
ある晩、沖合の離れたところに船の明かりを見つけたチャック。しかし大声を出しても、ペンライトを振っても船は気付く気配がない。
朝になって意を決したチャックは、船に追いつこうとゴムボートで沖へと漕ぎ出すが、波に押し戻され、思うように進めない。
遂にはひっくり返され、ゴムボートは破け、チャックも足を怪我してしまう。
足を怪我し、台風のような風雨にさらされ、入り江の洞窟で気を失うように眠りにつくチャック。
次の日、チャックは一緒に流れ着いた荷物を空け始める。
出てくるのはビデオテープ、離婚同意書、バレーボールなど役に立たなそうなものばかり。
そんな中出てきたスケートシューズ。エッジ部分が使えそうだと考えるチャック、さっそくヤシの実を割るのにスケートシューズを使用します。
また、ドレスのメッシュ部分を使って網を作り、魚を獲ることに成功。
しかし、魚もカニもそのままではろくに食べられず、火おこしを始めるチャック。
原始的に木の棒を回して火を起こそうとするが、一向に上手くいかず、遂には手を怪我してしまいます。
イライラが最高潮に達したチャックは癇癪を起し、バレーボールを掴んで投げ飛ばします。
しばらくして冷静になったチャックは、バレーボールに付いた手形の血の跡が人の顔のようになっていることに気付きます。
ずっと話相手がいない孤独な生活をしていたチャックは、このバレーボールの顔「ウィルソン(バレーボールに書いてあったメーカー名)」に話しかけ始めます。
もう一度火おこしを始め、「まさかマッチなんて持ってないよな?」とウィルソンに話しかけるチャック。
すると・・・
なんと煙が出始めました。
下に敷いていた木が割れていて、空気の通り道があることが要因だと気づいたチャックは、遂に火を起こすことに成功しました。
火を通したものが食べられるようになったチャックですが、虫歯がいよいよ耐えられないほど酷くなってしまいました。
ある晩、意を決したチャックは、歯にスケートシューズのエッジ部分を当て、それに石を叩きつけて歯を抜くという荒業を決行します。
見事に歯は抜けましたが、気を失ってしまうチャック。
そして時は流れて四年後・・・。
そこにはすっかり無人島生活に慣れたチャックがいました。
ある日チャックは、トタンの大きなドアのようなものが流れ着いているのを見つけます。
風を受けて倒れるそれを見て、「これ使えるよ!」とウィルソンに話しかけるチャック。
木を切り、木の皮でロープを編んでイカダを作り始めます。
トタンのドアを「帆」にすることを思いついたんですね。
しかし、ロープがちょっと足りない様子。
チャックはウィルソンとの「会話」を始めます。
「足りない分はビデオテープで間に合わせるさ」
「大丈夫さ!まだ風は東から吹いてるだろう」
「ああ、分かってるよ!確かにあそこには10メートルのロープがある。だが誰が行くか!」
そして、渋々崖の上に行き、ロープで吊るした人型の木を引き上げるチャック。
チャックは以前ここで自殺を考えましたが、木の人形で試したところで思いとどまったのでした。
その夜、今度はウィルソンと「口論」を始めるチャック。
「ああ、分かってるよ。だがあの時はああするしかなかった!」
「やってみなきゃ分からないだろう!」
だんだんヒートアップしてくるチャック。
「こんな無人島で!こんな穴ぐらの中で!バレーボールなんかと一生喋っていられるか!!」
そう叫んでウィルソンを外に向けて蹴り飛ばすチャック。
しかし、すぐに我に返り、慌ててウィルソンを探し始めます。
そして、ウィルソンを見つけるチャック。
「あぁ、すまなかったウィルソン!許してくれ!」と泣きそうになりながら駆け寄っていきます。
既にウィルソンはチャックにとってかけがえのない友になっていたのです。
そしてイカダが完成し出発の日、「チャック・ノーランドはここに1500日間いた。メンフィスのケリーへ、愛してる」と岩に書き、ウィルソンと共に海へと漕ぎ出すのでした。
以前、ひっくり返された大きな波も、帆をうまく使い乗り越えます。
「やったな!ウィルソン!」
だんだんと離れていく島を、感慨深く見つめるチャック。
何日か海を漂ったある晩、嵐がチャックたちを襲い、帆が飛ばされてしまいます。
必死にしがみつくチャックは、いつの間にか寝てしまっていたようです。
嵐が過ぎ、穏やかな波に揺られているうちに、結びつけていたウィルソンが外れて流されていってしまいます。
目を覚ましたチャックは、ウィルソンがいないことに気付き、辺りを見回します。
離れたところに漂うウィルソンを見つけたチャックは「今助ける!」と海に飛び込みますが、体力を消耗してしまっていることもあり、上手く泳げないチャック。
ウィルソンはどんどん流されていってしまいますが、これ以上イカダから離れると戻れなくなり、溺れてしまいそうなチャック。
とうとうチャックはウィルソンを諦めてしまいます。
「ごめんよ!ウィルソン!許してくれ!」
その後もイカダで漂いながら、友を失った悲しみに泣き続けるチャック。
そしてチャックは、オールを海に流し、波にまかせて漂うことを決めます。
やがて、そうして漂っていたチャックの近くを、タンカーが通りかかり、ついにチャックは救出されるのでした。
チャックが生きていたとの電話を受けたケリーは卒倒してしまいます。
そしてそこには、夫と子供の姿もありました・・・。
四週間後
チャックはメンフィス行きの飛行機に乗っています。
チャック帰還のセレモニーにケリーも来ると聞き、喜びながらも、どう会えばいいのか戸惑うチャック。
しかしセレモニーの待合室に来たのはケリーの夫と名乗る人物でした。
ケリーはひどく混乱して会える状態ではないため、しばらく待ってほしいとのこと。
チャックは窓越しにケリーを見送ります。
帰還のパーティーもお開きとなり、皆が帰った会場で、チャックは豪華な食事を眺めます。
大きなカニの足や、ボタン一つで火が出るライターを見つめるチャック。
部屋に戻ってもベッドでは落ち着かず、床に寝転がり、便利な暮らしに違和感を感じている様子。
そしてチャックはケリーに会いに行きます。
家に招き入れられたチャックは、そこでケリーが幸せな家庭を築いていることを実感します。
そしてずっと持っていた懐中時計をケリーに返すのでした。
ケリーは車で走り去るチャックを見送りますが、たまらなくなり、チャックを追いかけます。
そしてお互いにまだ愛していると伝え合う二人、しかしケリーには家族がいます。
結局そのまま二人は別れるのでした。
その後、一緒に無人島に流れ着いた荷物を、本来の受取人に自ら送り届ける旅をするチャック。
もちろんその中にはバレーボールもあります。
長く伸びる国道の傍らに立ち、チャックは一人微笑むのでした。
まとめ・感想
やはり長くなってしまいました。
無駄な部分はカットして、なるべく短くまとめようと思うのですが、良い作品に無駄な部分なんてないんですよね。
初めてこの作品を見たとき、ウィルソンが流されていくシーンで泣いてしまいました。
冷静に考えれば、ただのボールなんですが・・・。
そういった錯覚を起こさせるのも、映画の力の一つなんだなということをひしひしと感じさせてくれる作品だと思います。