必死に真摯に音を出す。ジャズに人生をかける青年の物語『BLUE GIANT』
音楽っていいですよね。
人それぞれ好きなジャンルやアーティストは違えども、人生のそれぞれの場面を彩る音楽というのは、誰の中にもあるのではないでしょうか。
さて、今回は日本人にはあまり馴染みがないかもしれない音楽、「ジャズ」をテーマにした漫画のお話です。
『BLUE GIANT』とは
『BLUE GIANT(ブルージャイアント)』は現在ビッグコミックで連載中の漫画で、冒頭でも述べたように、「ジャズ」をテーマにしたお話です。
仙台に住む高校生の宮本大は、友人から聴かされたのをきっかけに「ジャズ」という音楽に魅せられて、自身もサックスを吹くようになります。
そんな大が目指すのは「世界一のサックスプレーヤー」
それを聞いて嘲る人間もいれば、大きな障害にぶつかることもしばしば。
それでも大はひたすら前を向き続け、毎日河川敷でサックスを吹き、多くの人と出会いながら、人間としてもサックスプレーヤーとしても成長していきます。
ちなみに、タイトルの『BLUE GIANT』とは「あまりに高温なため、赤を通り越し、青く光る巨星」のことだそうです。
第一部の『BLUE GIANT』は10巻で完結し、現在は世界を舞台とした第二部『BLUE GIANT SUPREME(ブルージャイアント シュプリーム)』が連載中です。
ジャズはマイナー音楽?
作中ではたびたび「ジャズ」という音楽のマイナー性が語られます。
「日本の若者が聴くのはほとんどポップスかロックだろう」
「聴く人が少なければ、それだけプレーヤーの門も狭くなる」
確かに、ジャズを聴く人って少ないですよね。
私が今まで出会った人の中でも「俺はジャズをよく聴くよ」なんて人は一人もいませんでした。
私自身、この漫画を読むまでほとんどジャズを聴いたことはありませんでした。
だからこそ、その「狭き門」に挑む若者の姿が輝いて見えるというのも、この作品の魅力かもしれません。
ひたすら前向きな大
主人公、宮本大のひたすら前向きな姿もこの作品の魅力の一つです。
初めての人前での演奏が散々な結果になってしまっても、大は「へでもねえや」と、とにかく前向きです。
それゆえに、彼はすごい勢いで成長していき、多くの人から認められるようになっていきます。
作中に出てくる名曲
ジャズ漫画というだけあって、作中では実在の名プレーヤーや名曲が登場します。
ここではその一部を紹介します。
ディジー・ガレスピー『ノヴェンバー・アフターヌーン』
Dizzy Gillespie - november afternoon
ジョニー・グリフィン『オリーヴ・リフラクション』
Johnny Griffin - Olive Refractions
アート・ブレイキー『モーニン』
Art Blakey & the Jazz Messengers - Moanin'
上原ひろみ『MOVE』
作中ではないですが、巻末のおまけ漫画で紹介されていた日本人ジャズピアニスト。
なんかすごいです。みんな楽しそうに演奏してます。
上原ひろみ ザ・トリオ・プロジェクト - 「MOVE」ライヴ・クリップ
まとめ
何年か前に実写化されたバンド漫画の『BECK』もそうですが、「本」という音の出ない媒体の中で音楽というものを表現することの難しさは計り知れないものがあり、それを可能にする書き手の表現力には只々感服させられます。
なんかこの漫画もそのうち実写化されそう・・・。泣