インタ-ネット生まれの怪談「くねくね」
すっかりインターネットが普及したこのご時世、ホラーの世界もその煽りを受け、ネット上で怪談や都市伝説が生まれるということもしばしばありました。
今回のお話は、そんなインターネット生まれの怪談の一つ、「くねくね」についてです。
「くねくね」とは?
2000年代の前半に、インターネット上の某オカルト系掲示板に、以下のような話が投稿されました。
とある少年が、夏休みにお兄さんと、母方の実家である秋田県の田舎に遊びに行ったときのこと。
少年とお兄さんはさっそく外に出て、都会とは違い、空気の綺麗な田んぼだらけの田舎を堪能していました。
ふと、それまで吹いていた爽やかで気持ちの良かった風が止み、次の瞬間、気持ちの悪い生暖かい風が吹いてきたそうです。
その気持ち悪い風を怪訝そうにしている少年を横に、お兄さんは何やら遠くの方を見ています。
どうしたのかと聞いてみると、遠くの方に何か変なモノがあるとのこと。
少年もじっとその方向に目を凝らして見てみると、確かに、はるか遠くの方に何やら変なモノが見えます。
さすがに遠すぎてハッキリしませんが、それは人のような白いモノが、くねくねと動いているようでした。
少年は「風で動くように作られたカカシとかじゃない?さっきから風吹いてるし」と言い、お兄さんも一瞬納得したようですが、次の瞬間、風がピタリと止みました。
それでもその「何か」はくねくねと動き続けています。
気になって仕方がなかったお兄さんは、家に戻って双眼鏡を持ってきました。
お兄さんはワクワクした様子で、「まず俺が見てみる」と双眼鏡を覗きました。
すると、どうしたことか、お兄さんの表情がみるみる青ざめていき、冷や汗を流し始め、ついには双眼鏡も落としてしまいました。
少年はお兄さんに「どうしたの?何が見えた?」と聞きましたが、お兄さんはゆっくりと「わカらナいホうガいイ・・・」とだけ答え、家に帰っていきました。
その声は普段のお兄さんの声ではなくなっていたそうです。
気になった少年が落ちていた双眼鏡を拾い、その「何か」を見てやろうとしたその時、おじいさんがすごい勢いで走ってきて止められました。
おじいさんは「お前もそれで見たのか!?」と聞いてきましたが、少年が「まだ見てない」と言うと、安堵した様子でその場に泣き崩れてしまいました。
家に帰ると、なぜかみんなが泣いている中で、お兄さんだけが狂ったように笑って、くねくねと動いています。
それはまるで、田んぼで見たあの白い「何か」のようでした。
おばあさんは「コイツはここに置いといて、何年か経ってから田んぼに放してやるのが一番だ」と言いました。
そして少年はお兄さんを置いて田舎を離れ、二度と会うことはなかったそうです。
いくつかの「くねくね」にまつわる話
この「くねくね」に関しては、嘘か真か、いくつかの目撃談があるようで、場所は「田舎の田んぼ道」で、「白い」モノが動いている、というパターンが多いようですが、稀に違うパターンの話もあるようです。
海辺にて
ある小学生が、修学旅行先の海辺の旅館で窓の外を見ていると、何か白いモノがくねくねと動きながら歩いていたそうです。
その小学生は目が悪く、それが何なのか分からなかったため、目の良い友人に見てもらったところ、その友人は悲鳴をあげて倒れてしまったとのこと。
黒い「くねくね」
とある高校生が、家に友達を呼んで遊んでいると、お母さんが玄関を勢いよく開けて必死な様子で転がり込んできました。
様子がおかしいので、どうしたのか聞いてみると、お母さんが買い物帰りに田んぼ道を自転車で走っていると、黒いモノがうごめいているのが見えたそうです。
自転車を止めてよく見てみると、手足の細い人型のモノが狂ったようにくねくねと動いていたとのこと。
石切り場にて
Aさんが小学生の時の話。
どこかの石切り場に社会科見学に行ったそうです。
すると、同じ班だった友人の一人が「ヒヒヒヒ・・・」と、笑っているのか泣いているのか分からないような声をあげて、その後、泡を吹いて倒れてしまったそうです。
友人はすぐに意識を取り戻し、班長だったAさんが付き添ってバスで休んでいることになりました。
退屈だったAさんは、何気なく友人に倒れた理由を聞いてみました。
すると友人は「変な人影見ちゃって・・・白いのが・・・踊ってた・・・ヒヒヒ・・・、一度見ちゃうと・・・何度も来る・・・」というようなことを言って、また気絶してしまったそうです。
「くねくね」とは一体何なのか?
ここまでいくつかの話を紹介してきましたが、共通しているのは「くねくね」の姿を視認してしまうと、何らかの精神的ショックを受けてしまうということです。
一体「くねくね」とは何なのでしょうか?
最も有力なのは「ドッペルゲンガー」説です。
「ドッペルゲンガー」とは、もう一人の自分で、それを見てしまった人は死んでしまうという、霊体のようなものです。
(ドッペルゲンガーについてはいずれ別の記事で詳しく書きたいと思います)
通常の「ドッペルゲンガー」と違うのは、「くねくね」の場合、手足が変な方向に曲がった自分の姿だという点。
そして、「くねくね」を見ると、精神を病んでしまいますが、死ぬという話はありません。
これらの違いを鑑みるに、「くねくね」は「ドッペルゲンガー」ともまた違うものなのかもしれません。
まとめ
さて、こういったネット上の怪談話って、かなり信憑性に乏しい物が多いですよね。
ですが、そんな中でも、この「くねくね」に関しては、他のネット怪談と比べて、やたらと目撃例が多く、さらに、いくつかの話では場所が明記されているなど、ただの作り話で片づけるには、ちょっと気になる点が多いのも事実です。
もしも、あなたが遠くにくねくねと動く人影を見かけたときは、近づかない方が良いかもしれませんね・・・。