近代怪談のパイオニア、小泉八雲
近代日本における怪談のパイオニアと言えば・・・
そうです。小泉八雲ですね。
「雪女」や「ろくろ首」といった超メジャー怪談を世に送り出した彼ですが、実は外国人だということはご存知でしょうか?
今回は、そんな日本に魅入られた怪談作家の小泉八雲について、また、彼の書いたいくつかの怪談について紹介したいと思います。
小泉八雲とは?
数々の怪談を生み出した怪談作家の小泉八雲。
彼は本名をラフカディオ・ハーンといいます。
ギリシャで生まれた彼は、その後アイルランドに移り住むことになるのですが、そこで乳母から聞かされたケルト民話の妖精の話に大変興味を抱いたそうです。
その頃から、彼の不思議なものに対する好奇心は育まれていったのかもしれません。
1890年、彼は英語教師として来日し、島根県の松江に住むことになります。
やがて日本人女性の小泉セツと結婚した彼は、セツの話す日本の怪談話に惹かれ、それが多くの怪談を執筆するきっかけとなりました。
小泉八雲が執筆した『怪談』
1896年に日本国籍を取得し、小泉八雲と名乗るようになった彼は、妻のセツから聞いた怪談を基に、独自の解釈を加えて文学作品『怪談(kwaidan)』を生み出しました。
その『怪談』の中から、代表的なものをざっくりと紹介していきたいと思います。
雪女
ある吹雪の晩に山小屋で雪女に出くわし、「誰かにこのことを言ったら命はないぞ」と言われた木こりの巳之吉(みのきち)。
その後出会って結婚した妻に、そのことを話してしまったら、実は妻の正体はあの時の雪女だった。果たして巳之吉の運命やいかに!?というお話。
口は災いのもとですね。
ろくろ首
回竜(かいりょう)という、元侍の坊さんが旅の途中で迎え入れられた木こりの家。
なんとその家の者たちは皆、夜になると体から首が離れて飛び回る「ろくろ首」という妖怪だったのです。
襲い来る「ろくろ首」たちを相手に、秘められた回竜の剣が唸る!!的な話。
この話に出てくる「ろくろ首」は、今やメジャーとなっている首が伸びるタイプではなく、体から首が離れて飛び回るタイプなんですね。
このタイプの「ろくろ首」は、中国の妖怪「飛頭蛮(ひとうばん)」に由来するとされています。
耳なし芳一
阿弥陀寺に住む琵琶法師の芳一は、ある晩、訪ねてきた侍に「ウチのお偉いさんたちの前で琵琶を弾いてくれ」と言われ、毎晩とある屋敷に行くようになりました。
夜中に出ていく芳一を不審に思った和尚さんが後をつけると、なんと平家一門の墓の前で、鬼火に囲まれ琵琶を弾く芳一の姿が・・・。
果たして和尚は、平家の怨霊に囚われた芳一を救うことができるのか!?的な話。
書き忘れましたって、そりゃあんまりですよ和尚さん。
まとめ
日本に来た八雲は、日本人たちが自然を敬い、自然と共に生きている姿に感銘を受けました。
そういった日本の美しさが、明治の近代化の波にのまれて消えてしまわないように、「怪談」という形でスピリチュアルなメッセージを残そうとしたのかもしれません。