私的遠野物語2019前編
日本の妖怪や幽霊のパイオニアと言えば、以前紹介した小泉八雲ですね。
彼は島根県の生活の中で、不思議な「何か」の存在を感じ取り、「雪女」や「ろくろっ首」といった日本を代表する怪異譚を生み出しました。
島根県は国造神話の中で「日本の始まりの地」として描かれており、八百万の神々と縁が深いことからも、そういった不思議な現象があってもおかしくない場所ですね。
そして、東北地方のとある地域でも、とある民俗学者が人ならざるモノの存在を感じ取り、一つの怪異譚を生み出しております。
岩手県遠野市を舞台にしたその作品は『遠野物語』、作者の柳田國男氏は、この作品の中で河童や天狗など現在においても超メジャーとなっている妖怪達を描きました。
そんなわけで、私今回、岩手県は遠野市に来ております。
寒い
とりあえず寒いです。
午前中は雨だったのが、昼頃からは雪に変わりました。
山下達郎の昼バージョンです。
気温は1度くらいですが、まあ風が強い!
体感的には間違いなく氷点下です。シベリアンブリザード状態です。
ちなみに、遠野ではこういう風が強い日を「寒戸(さむと)の婆が帰ってきそうな日」と言います。
このババアは、遠野物語に出てくる山姥のようなものです。
神隠しにあった女の子が、数十年後に「みんなの顔が見たかった」と、老婆の姿で家に帰ってきました。
しかし、すでに「山の民」となっていた老婆は里で再び暮らすことはできず、一年に一度だけ帰ってくるようになったとのこと。
『遠野物語』においては、「山」というのはもはや異界なのです。
そして、老婆が帰ってくる時には必ず強風が吹き荒れていたとのことから、この謂れができました。
山に囲まれた地
遠野は、四方を山に囲まれた場所にあります。
そのため、他の地に比べて日暮が早く、夕方や夜の時間が長いのです。
実際、現代においてもこの状況は同じです。
建物や木々で分かりにくいですが、マジで周りが山だらけです。
ちなみに、写真を撮っている私の後ろにも山があります。
人は古来より夜の闇を恐れ、夕暮れ時は「逢魔刻」として、魔の物が現れる時間帯と言われてきました。
そんな時間が長いからこそ、柳田國男氏は、この地に怪異を見出したのかも知れません。
かっぱ淵
とりあえず遠野に行ったらここは抑えとかにゃあならんと思い、行ってきましたよ「かっぱ淵」
雪が降っていますが、私の他にも観光客がいたのが驚きです。
見えにくいですが、この釣竿の先にはキュウリが吊るされています。
他の場所にもキュウリが吊るされていますが、寒さと経年劣化でシナシナになってます。
もちろん本物の河童にも会ってきました。
写真撮影は有料だと言われたので諦めました。
後編に続く