私的遠野物語2019後編
めっちゃ昔、まだ日本が大和だった頃は、東北っていうのは異国の地だったわけですよ。
んで、そんな異国の地に住んでいるのは、もはや「外国人」とか「異教徒」とかいうレベルではなく、大和朝廷に仇名す「人ならざる者」=「鬼」だったんだと。
そういう意味では、我々東北人は「鬼の末裔」であると言えるのかもしれません。
日本の昔話で、鬼退治の話ってけっこう多いですよね。
『桃太郎』のような、ああいう話って、実は朝廷による侵略行為を武勇伝にしたものが多いんですよね。
本当は侵略行為だけど、それを後々まで残すには、「侵略」とか「征服」って言葉は響きが悪い。
そこで、人々を襲う悪い鬼たちを成敗する勧善懲悪の物語にしているのが、現在も数多く残る鬼退治や化け物退治系の昔話なわけですよ。
そんなわけで、遠野の話の続きです。
オシラ様めっちゃ多い
遠野には、オシラ様という神様的なのがあります。
昔々、娘が馬に惚れてしまって云々・・・
っていう話です。
気になった方はググってみてください。
んで、そのオシラ様ってのが、細長い棒の先端部分を人の顔とか馬の顔のように掘って、そこに布を被せたものをご神体としています。
これに願い事を書いた布を被せるといいらしいのですが・・・
これだけ囲まれると、ちょっと怖い・・・
これは伝承園という古民家を利用した資料館なのですが、そこの名物の一つが、この四方を大量のオシラ様に囲まれた「オシラ堂」なんですね。
これ、撮影している私の後ろにも同じだけオシラ様がいらっしゃいます。
しかも、この日は他の観光客ゼロの状態。
薄暗い古民家の一室にいるのは私だけ・・・
少しでも恐怖を緩和すべく、美咲ちゃんに癒され・・・
いや怖いって・・・
神隠し
遠野の伝承の中には、神隠しもあります。
この神隠しにはいろんな説がありますね。
んで、その説の一つが「天狗の仕業」というものですが、現地で天狗に聞いてみたところ、「いや、俺ら別に人間連れ去っても意味ないじゃん」とのことでした。
確かに、天狗が人を食べるとかあまり聞かないですからね。
はっきり言って、連れ去っても邪魔なだけでしょう。
そこで登場するのが「鬼」の存在です。
「鬼」は人を食べます。
特に女子供が大好物らしいです。
神隠しでいなくなるのも女子供です。
鬼めっちゃ怖いっす・・・
ちなみに、遠野ではないですが、近くの北上市というところには「鬼の館」という、日本および世界の鬼や妖怪、悪魔の類を展示した博物館があり、私のようなオカルトマニアにとっては、なかなかに見ごたえがあります。
また、この地に伝わる「鬼剣舞」という伝統舞踊は一見の価値ありです。
まとめ
古来より人々は、自分たちの力が及ばないような自然の力を、神や妖怪の仕業として畏怖してきました。
それが単なる物語かどうかは分かりかねますが、文明が進歩した現代において、人間が自然への気持ちを忘れがちな部分もあるように思います。
何も考えずに山の木を切り倒していけば、いずれは土砂災害という形で災いをもたらしますし、必要以上に山を切り崩せば、行き場を失った熊や猪が人里におりてきて人間を襲います。
今一度、自然への感謝の気持ちを思い返すべき時代が来ているのかもしれませんね。