まこっちゃんのそれなり日記

才能なしキャリアなしの30代男が気になったことについて書く雑記ブログ

【私の読書感想文】塩田武士『罪の声』

皆さんは1984年に起きた、「グリコ森永事件」をご存知でしょうか?

 

もう30年以上前の出来事なので、若い世代の人たちは知らない人も多いでしょうが、昭和の未解決事件として、今もなお語り草となることが多い事件です。

 

犯人たちによって、警察や企業が振り回される様はまるでドラマでも見ているかのようで、この事件から「劇場型犯罪」という言葉が生まれるほど、日本の犯罪史に大きな影を落としました。

 

そんな「グリコ森永事件」をモデルとして書かれたのが、今回紹介する、塩田武士著『罪の声』です。

 

明確なネタバレはなるべく避けます。

 

 

あらすじ

京都に住む曽根俊也は、父の遺品の中から、幼い頃の自分の声が録音されたカセットテープを見つける。

 

「ばーすーてーい、じょーなんぐーの、べんちの・・・」

 

何かを読みながら話しているかのような、たどたどしいその声は、かつて日本中を震撼させた「ギンガ萬堂事件」で使われたものと全く同じだった。

 

「もしかして父はあの事件の犯人の一人だったのでは?」

 

曽根俊也は、幼い自分の声と「ギンガ萬堂事件」事件の繋がりを手繰り始める。

 

そして同じ頃、大日新聞記者の阿久津英士もこの未解決事件の調査を始めることに。

 

果たして2人は「ギンガ萬堂事件」の真相に辿り着けるのか?

 

そして、その先に何を見るのか?

 

 

感想など

企業名こそ変えてありますが、この「ギンガ萬堂事件」は、実際の「グリコ森永事件」と全くといっていいほど同じ流れで描かれ、物語の中盤までは、2人がこの事件を追う姿を描きながら、事件の概要を説明していくような形になっています。

 

物語の後半あたりから、事件についてオリジナルの仮説が語られ始めるのですが、この部分がかなり突拍子もない感じなので、賛否が分かれる部分かなと思います。

 

もちろんフィクション作品である以上、実際の「グリコ森永事件」とは違ったオリジナルの展開にもっていく必要があるのですが、個人的には中盤までのリアリティさを損なわない程度の展開にして欲しかった気もします。

 

また、中盤まで事件概要の説明的な内容が続きますが、物語の構成上どうしても断片的になってしまいますので、実際の「グリコ森永事件」の流れを知ってないと、混乱してしまう部分もあるかもしれません。

 

「グリコ森永事件」を知ったうえで、「グリコ森永事件」を切り離して、一つの物語として読めば、大変面白い作品であると言えるのではないでしょうか。

 

 

まとめ

この『罪の声』は、2020年に映画化もされるようですので、そちらも楽しみな作品です。

 

加えて、実際の「グリコ森永事件」も、大変面白い(不謹慎ですが)ものとなっております。

 

昭和を代表する未解決事件の一つというだけあり、関連書籍も多数出版されていますので、気になった方は合わせて読んでみるといいかもしれません。